採用戦略とは?進め方、活用できるフレームワーク、策定における注意点を解説

人材不足が続く中、優秀な人材を確保するためには、従来の手法だけでなく、企業独自の採用戦略が求められています。
しかし、どのようにして効果的な採用戦略を構築すれば良いのか?競争の激化する市場で勝ち抜くためのカギは、戦略的なアプローチにあります。
本記事では、企業が採用活動で成功を収めるための採用戦略に焦点を当て、その進め方や活用できるフレームワーク、策定における注意点を詳しく解説します。
採用戦略とは
採用戦略とは、企業が自社の求める人材を獲得するために立てる計画的な戦略のことです。これは、企業の中期経営計画や事業計画に基づき、将来を見据えた採用活動を行うことを目的としています。
採用戦略の重要度
現在、少子高齢化により労働人口が減少し、人手不足が深刻化しています。
企業は優秀な人材を確保するために、魅力的な職場環境やキャリア開発の機会を提供することが必要になります。
採用計画との違い
採用戦略と採用計画は、企業の人材獲得において重要な概念ですが、それぞれ異なる役割を持っています。
採用戦略は企業が求める人材を獲得するための全体的なアプローチや方針を指すのに対し、採用計画は具体的な数値目標やタイムラインを設定することに焦点を当てています。
たとえば、「今年度中に営業部門で10人を採用する」といった具体的な目標が含まれます。採用計画は、採用戦略を実行するための具体的な手段やスケジュールを示すものであり、短期的な視点での人材確保を目的としています。
採用戦略のトレンド!スキルベース型への移行
近年、企業の採用戦略はスキルベース型へと移行しつつあります。この変化は、労働市場の状況や企業のニーズに応じた柔軟な人材管理を求める声から生まれています。
米国ではジョブ型からスキルベース型への移行が進んでおり、企業は求職者の学歴や職歴ではなく、スキルを重視するようになっています。
日本でも同様の動きが見られ、従来のメンバーシップ型採用から脱却し、スキルベース型採用を取り入れることで効率的な採用活動を進めています。
採用戦略を立てることで得られるメリット
採用戦略を立てることで得られるメリットについて解説します。
採用コストの削減
採用戦略を明確に定義することで、最適な採用手法や媒体を選択でき、無駄なコストの削減が可能となります。
令和3年度厚生労働省の調査によると、採用コストに関するデータは次のとおりです。
【正社員の平均採用コスト】
- 民間職業紹介事業者:85.1万円
- 求人情報誌・チラシ:11.3万円
- インターネットの求人情報サイト:28.5万円
- スカウトサービス:91.4万円
- SNS:0.9万円
- 自社HPからの直接応募:2.8万円
- インターンからの就職:12.4万円
出典:令和3年度厚生労働省委託調査 | 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書
【非正社員(パート・アルバイト等)の平均採用コスト】
- 民間職業紹介事業者:19.2万円
- 求人情報誌・チラシ:7.7万円
- インターネットの求人情報サイト:10.8万円
- SNS:0.2万円
- 自社HPからの直接応募:2.7万円
出典:令和3年度厚生労働省委託調査 | 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書
この調査では、媒体によって採用コストに大きな差が見られ、とくにスカウトサービスや職業紹介事業者のコストが高い傾向がありました。
また、SNSや自社HPからの採用は、コストが低い方法として注目されています。これは、選考過程でのリソースが無駄に消費されることを防ぎ、結果的にトータルでの採用コストが軽減されているからです。
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ミスマッチの防止
これは令和5年度の入職と離職の推移です。
出典:令和5年 雇用動向調査結果の概要 | 入職と離職の推移
離職率の推移(2023年) | 前年(2022年):15.0% → 0.4ポイント上昇 |
就業形態別の離職率 |
離職率:12.1%(前年同率)
離職率:23.8%(前年は23.1%) → 0.7ポイント上昇 |
性別の離職率 | 男性:13.8%
女性:17.3% |
表を見ると、前年と比べ離職率が上がっていることがわかります。
離職率の上昇は、転職活動の活発化が一因と考えられます。また転職市場の拡大により、企業と従業員の間でミスマッチが発生しやすくなっている点が特徴です。
採用における戦略的アプローチは求める人物像を明確にできるため、採用後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを軽減できます。
企業が戦略的に採用を行うことで、長期的に貢献できる人材を確保することが可能です。
質の高い人材からの応募
採用戦略を立てることで、ターゲットとする求職者層に効果的にアプローチでき、質の高い人材からの応募を集めることが可能になります。
そのためには単なる求人情報の発信に留まらず、雇用価値提案(EVP)を明確化することが重要です。
EVP(Employee Value Proposition)とは、従業員が組織に参加することで得られる価値やメリットを指し、以下が含まれます。
- 給与・福利厚生
- キャリア成長の機会
- 仕事のやりがいや企業文化の提供
適切なメッセージを発信し、求職者との接点で良い体験を提供することで、長期的な人材確保と企業成長を支える採用活動を実現できます。
関連記事:「採用 ミスマッチ」
組織全体のパフォーマンス向上
企業全体で採用戦略を共有し、部門横断的に協力することは、組織内に一体感をもたらします。
この共通理解は、社員のモチベーション向上にも繋がり、結果として組織のパフォーマンスを向上させる要因となります。
出典:社員全体のパフォーマンスを高めるには | 公益財団法人 関西生産性本部
また上司が部下の目標や業務を適切に配分することで、部下は自律的に動き、さらなる成果を生み出します。
出典:社員全体のパフォーマンスを高めるには | 公益財団法人 関西生産性本部
業務全体の効率化
戦略的な採用活動は、プロセスをスムーズに進行させ、リソースの無駄を排除します。
人事部門にとって他の重要な業務にリソースを集中させることができるので、組織全体の生産性の向上に繋がります。
採用戦略の立て方・進め方
採用戦略の立て方と進め方の具体的なステップを解説します。
採用戦略チームの編成
まず最初に、採用戦略を立案するためのチームを組織します。このチームには経営陣や各部門の責任者を含めることで、全社的な視点からの意見を集め、バランスの取れた計画の策定を図ります。
中期経営計画から採用計画を策定
企業の中期経営計画に基づき、必要な人材の数やスキルセットを明確にします。その上で、具体的な採用計画を立案します。
ターゲット人材の設定
求める人材像(ペルソナ)を、年齢、性別、職歴、価値観などを総合的に考慮し設定します。
自社の強みと競合分析
3C分析やSWOT分析を活用して、自社の強みや弱み、市場における機会と脅威を評価します。この分析によって、戦略的な判断を行います。
採用手法の選定
ターゲット人材や自社の強みを基に、適切な採用手法を選定します。これには求人広告や人材紹介、リファラル採用などが含まれます。
採用スケジュールの設定
採用活動全体のスケジュールを設定し、各選考プロセスの日程や担当者を明確にします。採用活動が円滑に進行することを目指します。
PDCAサイクルの実施
採用活動が終了した後、その結果を評価し、次回の採用計画に反映させるためにPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回します。このプロセスにより、継続的な改善を図ります。
採用戦略に活用できる重要なフレームワーク5つ
採用戦略において活用できる重要なフレームワークについて、以下の5つを紹介します。
ペルソナ分析
ペルソナ分析は、理想的な人材を具体的に描写するための手法です。性別、年齢、職歴、スキル、趣味、価値観などを詳細に設定し、その人物がどのような行動をとり、どのような働き方を好むのかを明確にします。求人広告のターゲティングが的確になり、求める人材にリーチしやすくなります。採用活動の最初のステップとして、候補者の具体像を設定することは非常に重要です。
SWOT分析
SWOT分析は、採用戦略を考えるうえで、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を明確にするための手法です。自社の強みを活かし、弱みを補完する採用施策を打ち出すことができます。たとえば、競争が激しいIT分野では、自社の技術的な優位性を強調することで、他社と差別化を図ることができます。
3C分析
3C分析は、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの観点から市場を分析するフレームワークです。採用においては、ターゲットとなる候補者のニーズ(Customer)、競合他社が提供する採用条件や文化(Competitor)、そして自社の強みや特徴(Company)を分析します。求職者にとって魅力的なポイントを把握し、競合との差別化を図る採用戦略が立てやすくなります。
4C分析
4C分析は、Customer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの要素から構成されます。
採用戦略においては、以下のように活用できます。
- Customer Value: 求職者にとっての価値を考える。たとえば、働きがい、成長機会、報酬など。
- Cost: 採用にかかるコストだけでなく、求職者が感じる転職のコスト(移動時間、社風への適応など)も考慮する。
- Convenience: 応募しやすさや、選考過程のスムーズさを重視。オンライン面接の導入などで利便性を向上させる。
- Communication: 自社の魅力を適切に伝えるためのコミュニケーション戦略。SNSやウェブサイト、オフラインイベントなどで、候補者との接点を強化する。
ファネル分析
ファネル分析は、応募から採用までのプロセスを視覚化し、各段階での数値を把握するための手法です。たとえば「応募者が選考を辞退してしまう原因がどこにあるのか」「面接段階で落ちる候補者が多いのはなぜか」といった問題を見つけることができます。ファネル分析を行うことで、プロセスの改善点が明確になり、より効率的な採用活動が実現します。
採用戦略策定における注意点
採用戦略策定において注意すべきポイントは次のとおりです。
企業理念・価値観の一致
現在、多くの求職者が企業の規模や知名度よりも、企業理念や価値観、仕事内容への共感を重視する傾向にあります。企業理念が表面的なものであったり、社内に十分に浸透していない場合、求職者からの信頼を得られず、採用活動に悪影響を及ぼす可能性があります。採用活動の一環として、企業理念を全社員が共有し、社内文化として深く根付かせることが重要です。
適切な面接官の選定
面接は、求職者にとって企業のイメージを形成する重要な機会です。そのため、企業の理念や価値観、仕事の魅力をしっかりと伝えられる面接官を選定することが求められます。面接官は単なる評価者ではなく、企業の「顔」として、求職者に企業の良さを正確に伝えられる人材であるべきです。
成長に対する認識の共有
ミレニアル世代とZ世代では、キャリアにおける「成長」の捉え方に違いが見られます。ミレニアル世代は、昇進などの垂直的なキャリア形成を成長と見なす傾向がありますが、Z世代は異なるスキルを習得する水平的な成長にも価値を見出す傾向があります。企業は、自社のキャリアパス制度を明確に提示し、Z世代の成長に対する考え方を理解した上で、求職者との認識のすり合わせを行うことが重要です。
社会貢献意識への対応
Z世代は、社会貢献意識が高く、仕事を通じて自己肯定感を高めたいと考える傾向があります。そのため、企業は現在の仕事内容の中で社会貢献を実感できる機会を提供するよう工夫する必要があります。Z世代が企業の活動を通じて自己の価値を見出し、長期的な関係を築きやすくなります。
押し付けないコミュニケーション
Z世代は、押し付けられるコミュニケーションを嫌う傾向が強いため、相互理解を深めるための対話を重視する必要があります。とくに採用プロセスにおいては、求職者との精神的な距離を少しずつ縮め、丁寧なコミュニケーションを心がけることで、信頼関係を構築しやすくなります。これが良好な関係づくりの基盤となります。
まとめ
本記事では、企業が採用戦略を効果的に策定するためのポイントについて解説しました。
採用活動における課題を解決するため、明確な計画を立て、適切な手法やフレームワークを活用していきましょう。
人事担当者の採用活動が成功に繋がることを心から応援しています。
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